たけのこ学園木工班には
ときどき杭の発注があります。
土木や建築に使われる杭だと思います。
発注があった時点ですぐに作り始め
たいていは数日で完成します。
その作業を心待ちにしているのが
男性利用者Yさんです。
どうして杭の作業が好きなのかよく解りません。
でも彼に任された作業は自分の作品を作る以上に集中し
楽しそうに加工しています。
おそらくは「任されている」という信頼感と
「誰かの役に立っている」という満足感からでしょうか?
しかし杭の注文は年に数回の仕事。
「いつ杭の注文が来るの?」
そうYさんに聞かれても良い返事は返せません。
それじゃ、杭のミニチュアを作ろうか?
と言う事で杭のミニチュアを作り始めました。
でもYさんは杭と同じくらいの木を削り始め
小さなレプリカを作るという意味が
良く伝わっていませんでした。
気を取り直し、小さな棒を切って
その先を尖らせて、最後に白いテープを巻いて完成の予定です。
杭を入れるコンテナは私が作って穴を開けました。
杭が完成したらこのコンテナに入れて本当の完成を見ます。
おそらく、本物の杭の製作に携わるときの情熱の
何分の一くらいの嬉しさでしょうか?
やはり「任される」と「仕事に携われる」という部分が
ミニチュア製作では不足しているでしょう。
でももしこの作品を欲しいと言う方が居れば
Yさんの想いも違って来ると思います。
自分の好きな物を表現し、それが求められる。
他者の喜びを創造出来る大切さ、喜びは
私が思っている感情に引けを取ることなく
Yさんの大切なライフワークになると思っています。
さて、どんな仕上がりになりましょうか?
Yさんの一歩は私の一歩でもあります。
この作品がYさんのお気に入りになるといいな。
相変わらず運任せのような支援員ですが
喜びを共有出来るかもしれない嬉しさは
また格別です。
杭とコンテナのミニチュア。今は完成間近です。
PS:ついに完成しました。
なかなかの出来だと思います。